沖縄旅行に発った12月31日の朝、バスタ新宿から羽田空港へのリムジンバスへと乗る為に、新宿に向かっている電車の中で、ハッとした。
「あッッッッ!エアコン(暖房)消し忘れた!!」
大概の場合、消し忘れたかも・・・と思いながら、実は習慣で無意識のうちに消しているものだ。しかしこの時、僕には100%の確信があった。家を出る時、リモコンを一切触っていない、という揺るぎのない自信。さっと「旅行 マンション エアコン 消し忘れ」で検索すると、目に飛び込んできた「火災の恐れ」の文字。もちろん、最近のエアコンは設定温度より上がることはないし、24時間ずーっと熱風を送り続けているわけでもなく、火災が起こる可能性は限りなく低いが、一度目にしてしまうと気になる。新宿に着いて、思い切ってマンションの管理会社に電話して、部屋に入ってエアコンを消してくれるよう頼んでみた。が、つれない答え。
「まずは担当者に確認しますが、部屋の中に入ることは出来ないので、恐らく無理かとは思います」
部屋の中に入れない・・・?
「では、火災が起きてもいいってことですか?」
とは訊かず、折り返しの電話を待つことにしたが、結局断られた。仕方ない、消し忘れた自分が悪い。電気代も心配ではあるが、調べたところそんなに大したこともなさそうだ。
5日間、無人の部屋をエアコンが稼働し続ける。あゝなんてバカなことしたんだ!急いで慌てて出てきたわけでもないのに、どうしてエアコンをチェックしなかったのだろう!と、考えても仕方のないことを丸々5日間、延々と考えてしまい、ほとんど沖縄を楽しめなかった・・・ということはまるでなく、エアコンのことは1日に1回位はふと思い出すことはあったものの、大した問題でもないと割り切って、沖縄を十二分に満喫した。
楽しかった沖縄旅行は予想外の速さであッッッという間に終わり、帰宅してドアの前に立った時、ひとつため息がこぼれた。寒い季節だというのに、ドアを開けたらムワッと暖かく乾燥した空気が僕を出迎えるのだろう。意を決して僕はドアを開け、部屋の中に足を踏み入れた。案の定、いや、予想以上に部屋は暑く、5日間丸々稼働していたことを痛感させられた・・・ということはまるでなく、僕を包み込んだのはヒヤッとした張りつめた空気。なんと、エアコンは点いていなかったのである!つまり、僕は沖縄に出発した日の朝、きちんとエアコンを消して出て行ったということだ。これぞ無意識の勝利!勝ったぞ!!勝ったぞ〜〜〜!!!
僕は喜んだ。とっても。しかし同時に、「エアコンを消さなかった」ことに100%の揺るぎのない自信を持った自分に、少し恐れを抱いた。