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前回のブログに書いた通り、クラシック・ピアノのコンサートに行きたくてたまらなくなった僕が、ふと思い浮かんだピアニストは小山実稚恵さんだった。ショパン・コンクールとチャイコフスキー国際コンクールの両方に入賞した唯一の日本人ピアニスト。僕が十代の頃、鶴岡にコンサートに来た時に初めて演奏を聴いたのだが、それまでに感じたことのない感動を覚えたことをハッキリと覚えている。何か凄い迫力だった。音が強いとか大きいとか、そういう単純なことではなく、音に込められた想いというか、客席に届くエネルギーが、明らかに他のピアニストとは違っていたのだ。興奮して帰宅したのを覚えている。一流演奏家の生演奏を聴くチャンスの少ない田舎で育った僕は、とにかく、コンサート、ミュージカル、演劇と、何かに触れる度に惚れてのぼせて帰るのが常だったが、小山さんの時は、さすがショパン・コンクール入賞者だけあってタダモノではない・・・と子供ながらに感じていた。

あれから25年以上が過ぎた。渋谷のオーチャードホールに行く度に「小山実稚恵ピアノ・リサイタル」のポスターを目にした。2006年から2017年まで毎年2回ずつの「12年間・24回リサイタル・シリーズ」を行っていたのだ。ちょっと興味をそそられつつ、いつか行こうと思いながら今日まできてしまった。再びクラシックに目覚めた僕が行きたいコンサートはもちろん小山実稚恵であり、検索したところ、2月に杉並公会堂でバイオリンとチェロとの三重奏、6月にオーチャードホールでピアノ・リサイタルがあることが分かった。今の僕の頭はピアノで一杯なので、他の楽器とのアンサンブルやオーケストラには食指が動かない。ならば6月のリサイタルで決まりなのだが、1月下旬の時点で「5ヶ月も待てない」と思い、思い切って両方のチケットを購入したのであった。

しかも杉並公会堂は自宅から自転車でも行ける距離。自転車でコンサートに行けるなんて気楽でイイ!僕が行っている美容院もその近くにあるので、コンサートの前に予約を入れた。自宅→美容院→コンサート→自宅、すべての移動を自転車で!と、思っていたところに「2月9日、東京23区も大雪の恐れ」のニュース。なんじゃー!!!この日に限って!!!仕方ないからバスか電車で行くしかないなぁ、と自転車は諦めていたのだが、結局雪降らず。やっぱりね〜〜〜。台風直撃だとか大雪だとか、最近の天気予報は煽るだけ煽って結局大したことなく終わる東京の天気。今回も降る降る詐欺であった。というわけで、もっこりと着込んで自転車を走らせたのであった。

ここ最近忙しくてちょっと疲れていたので、この日のコンサートを殊更楽しみにしていた。映画やコンサート、演劇では居眠り常習犯の僕、毎度胸が張り裂けるほどの後悔をすることになるのだが、今回は居眠りさえも贅沢な時間として許容しようと思っていた。贅沢ではないか、一流演奏家の音楽をバックにうつらうつらなんて!チケットを買うのが遅かったこともあり、席は2階席だった。そんなに大きなホールでもないので見やすいだろうとは思っていたけれど、来週行く「中島みゆき夜会」で最悪な席(僕が大嫌いなな2階席)を掴まされて、怒りにまかせて先日購入した双眼鏡を今回初めて持参した。席に着くと、プゥ〜〜〜ンと香水の香りが。隣のおじさんから。まったく、香水は控えてくださいよ。あんべわりぐなるぅ〜(庄内弁で「具合が悪くなる」の意)と心の中で悪態をつきながら、まぁでも、キツイ加齢臭とか体臭よりは断然いいか、と思い直す。と、ふと、「いや、この香りは隣のおじさんではなく、後ろのおばさまだろうか?」とも思えてきた。実際はどっちかは分からず仕舞い。

さて肝心のコンサートであるが、予想以上に良かった。今回はベートーヴェンのピアノ三重奏曲第7番「大公」とメンデルスゾーンのピアノ三重奏曲第1番で、まぁ正直言って僕が好きな曲調ではないことは最初から分かっていたのだが(激しいのが好きなのだ)、メンデルスゾーンの曲がとても美しいメロディーで甘美だった。思えばベートーヴェンもメンデルスゾーンも十代の頃発表会で弾いた(「悲愴」「プレストアジタート(無言歌集より)」)。また弾きたくなった。今度帰省したら楽譜引っ張り出して練習しよう!などと考えつつ、もしかしたら途中うつらうつらしたのかも知れないけれど(よく覚えてない)、やっぱり美しい音楽を一流演奏者の生演奏で聴くというのは、至極贅沢で心が洗われる優雅な時間であると改めて感じた。今度パリではオペラを聴きに行くし、6月の小山実稚恵ピアノ・リサイタルも今から楽しみ!!

終演後、サイン会があった。CDを買っていなくてもOKという太っ腹で、僕も列に並びプログラムにサインをしてもらった。小山さんには25年前に山形で初めて演奏を聴いて感動して、今日はその時以来であることを伝えた。他の2人(バイオリニストとチェリスト)にもサインを頂いたが、おべっかを使えない僕は何も言わなかった(サインに対してお礼は述べたけど)。分かりやすい僕。



【第一部】
ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲第7番「大公」変ロ長調 作品97
【第二部】
メンデルスゾーン:ピアノ三重奏曲第1番 ニ短調 作品49
【アンコール】
ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲第7番「大公」より第2楽章

ピアノ:小山実稚恵
ヴァイオリン:矢部達哉
チェロ:宮田大
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